~ 土に小さな種を蒔くように ~

1994年、ドーン財団は、大阪市中央区のドーンセンターを拠点に、男女共同参画社会づくりを使命とする法人として、大阪府によって設立されました。以来、性別にかかわらず誰もがあらゆる分野に対等に参加・参画できる社会を目指し、ジェンダー問題に関する啓発、情報や文化の収集・発信、女性が抱える悩みに向き合う相談など、多彩な事業に取り組んできました。

設立から30年。財団のあり方は大きく変わりました。2008年には府の行財政改革のもとで廃止の危機に直面しました。しかし、財団の活動を評価し、存続を願う多くの人々の熱い声を受けて、10年、府の補助金に一切頼らない自立化法人として再出発しました。

自立への道は厳しいものです。組織も随分スリムになりました。けれども、自由な活動が可能になったことを前向きにとらえ、広域的・先駆的な新事業にも取り組んできました。現在は、内閣府などの行政機関や自治体、大学・学校からの受託事業、指定管理事業、皆様からの寄付金などが重要な財源となっています。

私たちの仕事の多くは、人材・資源・情報などの提供者と、それらを必要とする人々を結ぶ中間支援的な性格を帯びています。相談員の確保とコーディネーションを行い、相談集計・分析から抽出した課題を、対人援助職に就いている人々のための研修企画や、多様なオンライン教材の開発・作成などに生かしています。また、財団のこれまでのつながりから、社会貢献を検討する企業と困難を抱える女性への支援をつなぐ役割も果たしています。これらは外からは少し見えにくい仕事かもしれません。しかし財団は、シングルマザーの応援事業、女子高校生のためのサマースクールなどを実施し、個々人の肉声に耳を傾ける姿勢も共に大切にしています。

ジェンダー平等は今や、世界の国々が目指すべき国際目標の一つになりました。格差是正が遅々として進まない日本社会にあって、ミッション(使命)を持つ一般財団法人として、私たちは何をなすべきか、どんな形態を目指すべきか。思索しつつ、チャレンジを続けて参ります。砂地に新鮮な水をたゆみなく注ぐことで、多彩な草花が育つ豊かな土地が生まれるように――。小さくても、私たちはそのような仕事をしていきたいと願っています。

一般財団法人大阪府男女共同参画推進財団

                        代表理事・理事長 畑 律江